tatylover7のブログ

文章練習

本が好き

 

私は本を読むことは好きだけど、本ではっきりと救われた経験ってないし、本を人生をよくするために使いましょうみたいな言説には懐疑的だなー、と数年前まで思ってたんだけど、考えを改めた。

小学校入学して少しした頃くらいから、家にあった子供の教育本を読み始めた。これは児童書ではなく、親向けの「子供はこう育てましょう」みたいな本である。
母親は子供の教育とかに全然熱心ではなく、通知表なども持ってきたらとりあえず見るが一瞬で返してくるとかそんな感じだった。
そんな母のいわゆるママ友には、とても教育熱心な人がいた。母は彼女から「この子育て本いいよ~」とたくさんの教育本をもらってきていたのである。
しかし教育に全然熱心ではなかった母は完全にこれらの本を積読していた。断り切れずもらってきただけだったのかもしれない。
とにかく部屋の片隅で手つかずになっていたそれを、私は読み始めたのであった。私は当時まさしく本の虫で、とにかく活字があれば読む子供だったのだ。
というわけで教育本を読むと、「こういう子がいい子」とか「こう育てるといい子に育つ」とか「こう勉強させると頭がよくなる」とかいう内容が踊っていた。
私はそれを読み「こういうのがいい子なんだなあ」とその行動をトレースしたり、「こうしたら頭がよくなるんだなあ」と百マス計算を自主的にやった。
当時わかりやすく成果が出たのは勉学であった。百マス計算を継続したおかげで算数の成績が伸びたと思う。理系の才能がなかったので高校からはからきしだったが。
あとから気付いたが、「いい子になる」為の行動も、結構成果があったなと思う。私は今も昔もあんまりコミュニティになじめない人間だが、あの時「いい子」の行動をトレースして動いていたことで、回避できた嫌なことがたくさんあったことに気付いたのである。いじめられっ子だったけど、あの時思うままに行動していたらもっとひどいことになっていたと思う。当然どんな子供でもいじめられるいわれはないしいじめは許されるべきではないのだが、あの時止めてくれる大人もいなかった頃に状況を悪化させずにすんでよかった、と思う。

上記のことに気付いてから、「本ってめちゃくちゃ現実の生活の役に立つじゃん!!!!!!!!」と思った。
私は基本的にフィクションのエンタメ作品が好きだし、好きなものを楽しむことに意味をあんまり見出したくないと思っている。ただ好きだからやりたいのだ。そこに変な意味づけは持ちたくない。
ただ本がすごく役に立つことを私は身をもって体感していたので、「生活に生かす」為に本を読む人のことをあんまり忌避しないようにしよ~と思った。
特にフィクション作品を鑑賞する際になんらかの見返りを得ようとする人のことを私は今まであまり好きではなかったのだが、そのように本の可能性を狭める考え方を本が好きな人間がするべきではないな、と思ったので気を付けるようにする。
本には力があり、現実の人間を助けてくれることがたくさんあるのである。それはフィクション作品でも同じであり、フィクション作品をきっかけに人生を好転させて人もいる。逆にフィクション作品の影響で人生が悪くなった人もいるだろう。
私は本にそういう力があるところも含めて好きなのだ。
だからこれからも好きに本を読んで、生活の糧としようと思う。